気になっていた映画を見てきた。
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白血病の姉に臓器提供するために作られた妹
白血病にかかった姉と、姉に臓器提供するために作られた妹。
そして、娘をどうにか救おうと弁護士の仕事もやめ、人生のすべてを捧げる母。
ちょっとしたきっかけでゆがみが露出し、壊れてしまいそうな「家族」を支える父と弟。
設定から予想されるとおり、やはり深刻で、悲しい話だったけれど、そんななかでも、一生懸命笑い、楽しみ、家族であろうとする5人の姿は、決してただ悲しいだけのものではなく、心に刻まれた。
どんでん返しより一つ一つのエピソードがいい
映画の話は、まだ11歳の「妹」が、「これ以上、姉に臓器提供するためだけに生きていくのは嫌だ」と、有名な弁護士のもとを訪れ、両親を相手に裁判を起こす、というところから始まる。
映画の宣伝では、そんな行動に出た妹の真意はなんだったのか? ということを前面に出し、広義のミステリーのように売り出しているけれど、実際見てみると、最後のそのストーリーの展開より、それまでの、ひとつひとつのエピソードのほうが心に残る。
確かに最後にはちょっとした「どんでん返し」があるけれど、驚くというより、「なるほど」といった感じ。
ストーリーをうまく集約させるためには、この設定しかなかっただろうな、と。
一人ひとりの描き方が丁寧
姉を演じていた役者が良かった。
決してすごくきれいな人のわけではなく、抗がん剤の副作用で髪の毛がないシーンが多いのだけれど、それでも一生懸命に笑って生きている姿がとても素敵だった。笑顔の力ってすごいな、と思う。
この映画を一言で評価するなら「良質な作品」という感じかな。
弁護を頼まれた弁護士、たまたまその裁判の担当になった裁判官まで含めて、一人ひとりをとても丁寧に書き出している。
表現のプロとアマチュアを分けるのは、そういう細部に対する心配りの差なのかもしれない。
悲しいけれど、決して救いがない映画ではない。
家族の衝突も、一人ひとりが一生懸命に誰かのことを想うから。
もしかすると最後に語られる「真実」にも、語られないもっと深い想いがあったのではないか、とも感じられる。
どんな状況でも人は笑えるし、前向きに道を切り開ける、というメッセージも受け取れる。
いい映画です。