Contents
作家のキャラクターから入る
野ばらさんは今公開されている映画「下妻物語」の原作者なので、それで知った人も多いかもしれない。
でも私は「踊る!さんま御殿!!」で知った(笑)
おじさんなのにゴシックロリータ系の服を着て、美形といえば美形。で、不思議な話し方で、不思議な話をする。しかも職業は作家という。気になる!(笑)
ということで図書館で調べてみたら、この「エミリー」という作品が三島由紀夫賞の候補になったという。変なおじさんなだけではないらしい。早速借りてきて読み始める。
感想は一言でいうと、はまった……。
読書をすることのしあわせ
別に私はこういうファッション(ゴシックロリータ)にあまり関心はないし、理解もない方だと思うけれど、そういうものを求める人の気持ちがとてもリアルに伝わってきた。
「エミリー」は高校生の話なのだけれど、自分とは関係のない世代の人の話とは感じられず、すべてが胸に迫ってくる感じだった。
とても久しぶりに純粋な読書の楽しみ、読書をすることの幸せというものを感じられた。
この作品は結局、三島由紀夫賞を逃してしまったようだけれど、確かに三島を読んでいるときの幸せな感じを味わうことは出来た気がした。
これは高校生の男女の、かなり切ない話なのだけれど、確かな世界と文体があるし、最後にはありふれたハッピーエンドではない救いみたいなものがある。
「番(つが)う」という言葉がずっと心に残る。
野ばらさんはあまりたくさん本を出している人ではないようなので、とにかく出ている本、全部読むぞ、くらい好きになった。
そのうちはまりすぎて、気づいたらロリータ系のファッションになっているかもしれない(絶対ないと思うけど……(笑))。
「エミリー」は是非、あまり偏見を持たずに、純粋にただ文学として手にとって読んでもらいたい(まぁ、背表紙に作者の写真が載っていて、思わず目がいってしまうんだけど……(笑))。
好き嫌いは分かれるものだと思うけれど、読んで損はないと思う。