この本を役立つと感じるかどうかは人によるかもしれない。
「文学」を語った物では決してなく、「作家という職業」を現実的に語った本と言えば分かりやすいだろうか。
「新人賞の獲り方」についての本をいくつか読んでいる人には抵抗がないと思うけれど、「文章読本」とか「文学論」を求めて手に取ると、裏切られる。
Contents
どうやってプロになるか
本の構成は大きく分けて二つに分けられて、前半は「どうやってプロになるか」ということについて。
新人賞に送るときの注意点の他、どうやって持ち込みをするかについて書かれている。
後半は、「文章を書く上での注意点」。
私が役立ったと思うのは、前半。
私は以前から中央の文学賞で最終まで残ったら持ち込みをしようと決めているのだけれど、そのやり方や現状がきちんと載っていて、参考になった。
持ち込みをして読んでもらえれば、プロの編集者からタダでアドバイスをもらえる可能性があるわけで、そう考えるとおいしいよなぁ。まぁ、なかなか読んでもらうのは難しいみたいだけれどね。
催促しても「郵便事故」のせいにされるらしいし。私も知り合いの編集者に一度そう言われたことがあった……。
そのほか、新人賞を獲ってからの営業の仕方とか、そういう現実的な部分での情報はぎっしりつまっていて、将来のビジョンを描く上でとても参考になった。
よく言われる「悪文」の直し方
後半は具体的に悪文を例として出し、それを「ここがこう悪いからこう直せばいい」というアドバイスをする章。
説明の仕方が上手く、分かりやすいと思うが、正直、よく言われていることがほとんど(擬音語は使わない方がいい。視点はぶらさない、など)で、発見は特になかった。
こういうアドバイスをたくさん受けたいのなら、前回紹介した「「ベストセラー小説の書き方」ディーン・R・クーンツ」を読んだ方がいい。
ただ案外、こういう「よく言われていること」で躓いている人は多いかもしれない。
そういう人はこの手の「実用書」を読んでみて欲しい。
そして「実用書」の中で、この本は、説明が上手く分かりやすい方だと思うので、紹介する。