小川洋子

小川洋子「ホテル・アイリス」

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 どう感想を書いたらいいかちょっと難しい。

 他の小川さんの作品の雰囲気と似ているのだけれど、そのインパクトを強めようとしすぎて逆に本来の良さが半減してしまったような感じがした。

 アマゾンの紹介では『17歳の美少女と初老の男は、なぜSMでしか愛を確認できなかったのか!「SM愛」を描いた衝撃の問題作』と書かれている。この紹介の仕方は小川さんの意図とはまったくちがうものである気がするけれど、そう読まれる可能性を残してしまったところが、この作品の問題なのかなという気がする(まぁ、私にはちょっとこの作品で小川さんが何を描きたかったのかよく分からないので、批評する権利はないかもしれないけれど)

 ホテルの雰囲気や島の淋しさはよく伝わってくるし(ただ、舞台は日本であるはずなのに、見知らぬ国のように描かれていてそれがまた不思議でいい)、「まり」「翻訳家」「甥」には確かな存在感がある。ストーリーやテーマではなく、ただその存在、雰囲気が伝わればそれでいいのだろうかという気もしてしまう。

 小川さんが読者に一番伝えたいことは何なのだろう。いつか本人に会えたら聞いてみたいな。

 小川さんの作品には、「あの短編がこの長編になったのだろう」と感じられる「焼き直し」みたいなものがたまにあるのだけれど、これは「長編→短編(「まぶた」)」という流れを感じさせた。私は「まぶた」の方が好きだな。「まぶた」の方が淡々としているぶん、もっと真っ直ぐに伝わり、心に残るものがある気がする。

 最近、エンターテイメント系の本を読むことも多いし、ストーリーとか読者をひきつけるおもしろさにとても目が奪われているのだけれど、小川さんの作品は、「小説というのはそれだけじゃないでしょ」ということを私にいつも思い出させてくれる。そういう意味で、やはり私にとってとても大切な作家の一人だ。

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