美術

「ラ・トゥール展」

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「ラ・トゥール」という名前は知らなくても、絵を見て「あ、見たことある」と思う人は案外いるのではないかと思う。というか、一度見たら心のなかにしっかり刻まれる強い力を持った作品が多い。

 絵のことは言葉でうだうだ説明するより、画像を見てもらった方が多分早い。

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 私の場合、美術作品を見て感動することは結構多いのだけれど、ラ・トゥールの作品は「感動」というのとはまた違った感覚を与えてくれる。美しい風景を見て、わけもなく泣けてきてしまうのと似ている(まぁ、それは私の個人的な感想で、作品を見ながら目を潤ませている人などいなかったけれど)。

 光も、光に照らされた人物も、その光景を見つめる作者の目も、みんなあたたかい。それに心が洗われる気がする。

 特にろうそくの光の使い方がいい。「ヨセフの夢」では、右側に居眠りをするヨセフ。左側に「天使」とされる女の子が描かれている。女の子の右下にろうそくがあり、彼女の顔と手の一部だけが強い光に照らされている。そして、ヨセフの体は全体が柔らかい光で覆われているような自然な明るさで描かれている。

 この絵の前で、「ここにろうそくがあるのに、この光の当たり方は変だよ」と一言吐いて行ってしまった人がいたけれど、この二人を照らす光の強さの違いがこの画家の才能なんだろうなぁという気がした。

 あと、個人的には「手」の描き方に惹かれた。それぞれの人物の「手」にその人が生きてきた時間を感じさせるのだ。思わず、この「手」を描くために私の文章だったら原稿用紙何枚分の説明が必要だろうかなどと考えてしまった。

 ラ・トゥールの作品は40作品くらいしか今のところ見つかっていないらしい。だから今回は本物にまざって半分ぐらいの「模作」があった。その大部分は光の表現がはっきりと露骨すぎて、ちょっと受け入れられなかった。

 ただ本物を20点ほどであってもまとめてみられる機会は滅多にないらしいし、私は20点ほどでも、今回の展示に1100円以上の価値はあると思った。

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