アカデミー賞の「作品賞」「監督賞」「主演女優賞」「助演男優賞」と主要な賞を四つも獲った言わずとしれた話題作。
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期待通りの良い作品
ということで、期待して見に行ったが、期待通り、とても良くできた作品だった。
ストーリーもいいけれど、リアルな世界観があって、私はそういうところが好きだな。
主人公二人の背負っているものは重く、それが決して物語をただハッピーで明るい成功へとは導いていかないのだけれど、成功していてもどこかに影が残る作品の作り方に好感が持てた。
ボクシングという世界の雰囲気にもそれはフィットしている気がする。
一番良かったのは役者
ただ、ストーリーや監督以上に良かったのは役者の力だろうという気がした。
主演女優は決して美人ではないのだけれど、だからこそリアルなエネルギーを感じさせた。こういう人、いそうだなぁと思わせてくれる。
私の友人に三十を過ぎてもまだ役者を目指し、貧しいフリーター生活をしている女性がいるのだけれど、なんとなく彼女を思い出した。……と言ったら失礼か?(笑)
あと、モーガン・フリーマンもいいし、クリント・イーストウッドもいいねぇ。
監督をしながら役者をあそこまで完璧にできるなんて、素晴らしい。
このあいだインタビューで、イーストウッドはほとんど1テイクしか撮らないという話になったのだけれど、そのとき、「役者は一番目の演技に一番力が入る。それをできるだけ使う」というようなことを言っていた。役者ならではの「監督論」なんだろうなぁと思う。
一つのことを極めるのも良いけれど、色々なことをして視野を広げるのも作品作りには欠かせないのかもしれない。
ラスト
正直ラストだけ、ちょっと安易な結末の付け方だと思い、「フィクション」を感じてしまったけれど、でも「生きるというのは結局、今を生きるということでしかないのだな」ということとか、二人の信頼関係を感じられたから、多分このラストはこれで良かったのだろう。
この問題について真正面から向き合ったらそれだけで一作の映画になってしまうものね(と、見ていないひとには分からないかもしれない、微妙な触れ方ですみません……。一応ネタバレにならないように注意してます(笑))。
テーマのためには、ストーリーのどの部分を膨らませるかをよく考えるということが大切なんだなということを考えながら帰路につきました。
とにかく良い映画です! おすすめ。