メキシコの女性画家フリーダの人生を描く作品。
18歳の時、事故で大けがをし、それをきっかけに絵に没頭し始めるが、有名な画家のディエゴと結婚後は、彼の浮気性と、事故の後遺症、流産に苦しむ。しかしその生活の中から、彼女の力ある作品が生み出されていく。
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難解な絵
フリーダ・カーロという画家を今まで知らなかった。でも、この映画を見て、彼女の絵を是非見てみたいと思った。絵画のことはよく分からないが、少しダリに通じるような世界観(ただ、ダリのような繊細さ、冷淡さはないかもしれない。ちなみに私は結構ダリがすき)。
映画の中で彼女の友人も「あなたの絵は難解だから(売れないんじゃない?)」というようなことを言っているが、確かにぱっとみてすぐ理解できる作品ではないだろう。
ただそれでも、他の映画の登場人物は彼女に、「(人間は相当な痛みに耐えられるという)あなたのメッセージが、絵からも感じられます」と言っていたし、この映画を見て、彼女の生き様を知った後になら、きっとその作品に共感できるのではないかと思う。
監督の力
映画自体のできについていえば、「とても良かった」。
彼女の人生のすさまじさ、苦しさ、つらさが伝わってくるのだけれど、暗くなりすぎず、彼女のキャラクターがとてもよく描けている。
彼女に、見ている私もひきつけられてしまう。そんな描き方ができるのは、監督に力があるからだろう。
映像も美しく、うまく映画の世界とフリーダの描く絵の世界を融合させられていて、本当に感心してしまった。いい映画を見た、その一言につきる。
本物の芸術家
ただ映画を見て、一番感じたのは、このフリーダという人は、本物の芸術家だったのだろうな、ということ。
彼女は自分の描く絵を、自分のためだけに描くとても個人的なもの、と言っているが、見る人を意識せずに書くものが、人の心にも届いてしまう……それが本物の芸術家だろう。
逆に言うと、彼女ぐらいの感性や壮絶な人生を持っていない人間は、謙虚に「人に伝える」意識を持って作品を作るべきだと思った。それは自分への戒めも含めて。……私は絶対、こんな痛ましい人生を歩むことはできないな……。「心安らぐ生活」という基盤を求めてしまう。
この映画を作った人が伝えたかったことは多分、こんなことではないのだろうけれど、私はそんなことを感じてしまった。