私は、現代美術、特に抽象絵画が好きです。なんだか、本当に説明できない思いが、画面にいっぱいあふれていて、それを感じずにいられない。
「ポロック」の絵などは、「ユリイカ」で特集されたりしていて、もしかして思想のあるものなのかもしれませんが、やっぱりただ、この人はその思いを、こうやって、「描き殴る」という行為でしか表せなかったのだろうな、とまっすぐその思いを受け取るように、私は見たいと思います。
抽象絵画には、何か下に描かれているものを塗りつぶしたり、削り取ったりしていることが分かる絵があります。なぜ、描いたものを消してしまうのか、元々それは消されるために描かれたものなのか、ずっと気になっていました。
それで先日、抽象っぽい絵を描いている知り合いの個展に行ったとき、聞いてみたのですが、その人は、「ただ、描いていくとどんどん描き足さずにいられなくなってしまう。ほうっておくと、全てが埋め尽くされて一色になってしまう。今は、どこでそれをやめるか、だ。」と、言っていました。
上手く言えないのですが、ただ私も芸術を作っているものとして、自分の作ったものは、大切だということが分かるのです。だから、その自分の作品でさえも、潰していかなくてはいけない衝動、っていうのは、痛いのです。少し「勇気」の問題で、あとは、心の「エネルギー」の問題です。人の心の底には、ものすごいエネルギーが眠っているように思います。それを起こすべきなのか、眠らせておくべきなのか…。
抽象絵画