過去Diary

哀しみ

 雨が降ったりやんだり・・・。この頃、天気がよく変わる。雷も落ちる。

 雨上がり、公園を散歩する。空は曇っている。全てにうっすらと白い覆いが被されたように、世界はコントラストを失っている。

 写真を撮り始めてから、曇りの日は、美しくないと、決めつけてしまっていた。いい写真が撮れない日は、撮れない風景は、大してみる価値もない、感じる価値もないと。でも、違う。

 目には見えない、カメラには写らない大切なものが、そこにある。覆われているときこそ、ちゃんと見ないといけなかったんだ。

 草にしがみついている、小さな水滴たち。雨に潤された土と、その優しいにおい。ほっとする。

 最近、色々なことがあって、(精神的に)忙しすぎて、多分、そういう小さなことに上手く目を向けられなくなっていた。

 自分に自信がもてると、人に寛容になれる。自分が傷ついていると、人に温かくなれる。・・・私はそんな気がしている。

 昔は悲しいことがあると、その悲しみをただじーっと一人で見つめていた。今は、悲しみをごまかすように、妙に活発になる。そんな今の自分を嫌いではない。でも、雨上がりの、その穏やかな光景に、私は忘れていた何かを思いだした。

 本当に悲しいのは、悲しいとき、その悲しみに自分で気付かず、事態をより深刻な方に導いてしまうことだ。大人になること。それは、悲しみをごまかすテクニックを手に入れることかもしれない。・・・でも、それは淋しい。

 泣けるときは、雨の日の憂鬱のせいにして、泣いてしまえばいい。

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