30日、映画と音楽の関係についてというイベントに行って来た。
ミュージシャンの苦悩を描いた映画「アイデン&ティティ」の上映や、その監督の田口トモロヲさんと音楽担当の大友良英さんのインタビュー、そして、ミュージシャンでありながら何本か映画に出て、シングルに自分が主演するショートフィルムをつけてしまう、山崎まさよしのトーク……と盛りだくさんな内容。
ま、もちろん、お目当ては山崎まさよしです。当然!(笑)
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音楽の役割は大きい
でも、まさやんの話もおもしろかったけれど、他の監督やミュージシャンの話を聞いたり、音楽と映像の関係として何本かのPV(プロモーションビデオ)が流されているのを見たり、良い経験でした。
私は正直、音楽はよく分からない人間なので、まず第一にストーリー、第二に役者の演技、第三に映像美……と見てしまうのだけれど、確かによく考えると音楽の役割ってとても大きい。
そう気づかせてくれたという意味で、田口さんと大友さんの話は聞けて良かった。
映画音楽を作るというのは、監督とデュエットするようなものだと大友さんは言っていた。
そして、「音楽を作るとき、他にどんな効果音が入るところなのだろう、たとえば、風が吹く音が入るだろうシーンにはそれと合うような曲をつけよう、などと考えます。あと、役者の声質なども想像したりしますね」という話に、うわぁ、こういう細かい配慮、好きだ~と思った。なんかそういう職人気質みたいの、結構好き。
「アイデン&ティティ」
と、思ったのだけれど、そのあと実際「アイデン&ティティ」を見たら、また音楽そっちのけで、ストーリーとかテーマに対するダメだしばっかり自分の中でしてしまった……。
だって~、説教くさいんだもん。
自分のアイデンティティを守るために自分の好きな表現を守るっていうのもいいけれど、売れる音楽をやったらいけないとか、そういう決めつけはうざい。
人が欲しいと思うものを提供するというのは、決して悪いことではないと私は思う。一表現者として。
この映画は、まぁまぁ好きだけれど、手放しで褒められるほどは入り込めなかった感じ。
バンドメンバー4人はそれぞれ味があり、役者も個性があって良かったが、主人公の中島とその彼女の関係とか、あまりに作られた感じがして、そんな関係ないだろ!ってつっこみたくなったし……。他の人はどう感じるのだろう。それは気になるところ。
まさやんの話
肝心なまさやんの話は、本人がすぐ近く(今回は四列目だったので、ものすごくよく見えた)にいるということに浮かれるあまり、あまり記憶にとどまらなかった……(^^;)
でも一番印象に残ったのは、「音楽の場合は、もう何をどうやって見せればいいというのが分かっているんですけど、映画の場合は現場に入ってから監督に言われたように動きます」というようなことを言っていたこと。
以前他のインタビューでも、「役者の世界というのはある意味ストイックなものだから、自分はその世界で、ただ胸を借りてやるというだけしかできない」などと話していたけれど、それに通じる謙虚さだと思う。
自分はあくまでミュージシャンという姿勢は素敵だと思った。
ただ、本当、歌っているとき以外は、普通の人だなぁという感じがした。いい意味で。
こういう普通っぽい人が、家にこもってああいう曲を作るんだなと感じられたことが、なんだか良かった。
何千人、何万人ものファンの前で演奏しているミュージシャンは、どっか神がかった存在で、自分とは全く違う人間のように思えてしまうけれど、そんなことはなく、表現者はみな、個人の限られた世界とか領域の中で、(多分)似たような悩みを抱き、もがきながら作品を作っていくのだと、根拠はないけれど、感じられた。
そして、私も絶対、向こう側(表現者の側)に行くぞと強く思った。