去年の初夏、ワイルドストロベリーの苗を懸賞で当て、それを育て続けている。
真夏と真冬はさすがに元気がないのだけれど、春と秋には生い茂り、小さな実をたくさんつけてくれる。
実を結ぶと、恋人ができるという話があり、それで一時期話題になった花なのだけれど、私は今更、恋人を作っても仕方がないので(というより、作ったら問題なので(笑))、小説家になれるように願かけて、育てている(そんな効用は誰も言っていないので、あくまで私の心の中の問題だけど……)。
が、その大切なワイルドストロベリーが最近、元気がない。今までは暑かったから仕方がないと思っていたのだけれど、涼しくなっても一向に元気になる気配がない。
八月は夏期講習で忙しく、九月は公私ともなんだか色々あって自分のことで手一杯になってしまっていて、栄養もあげていなかったし、枯れた葉を取り除くことも結構さぼっていた。
十月になってようやく本気で心配になり、丁寧に枯れ葉を取り除いていったのだけれど、茎が以前より簡単にとれる。それも根元から。そして、根っこもほとんどついていない。半月ほど前に植え替えをしたときには、植木鉢びっしり根を張っていたのに。
驚き、苗ごと持ち上げてみた。
で、びっくり!
なんと、親指ほどの大きさの白い幼虫が顔をのぞかせている。
背中に冷たいものが走り、鳥肌が立ちそうだった。
そろそろとそのまま苗を持ち上げると、同じような幼虫が五匹くらい、円の形に並んでいて、一斉に私の顔を見上げた!!!
怖い、怖すぎる!
誰もいないベランダで一人、固まってしまった。
結局、新しい鉢に新しい土を入れ、苗を植え替えた。その後、新しい芽も順調に育っているし、多分、大丈夫だろう(ただ、虫のいる植木鉢はそのままで、まだ捨てられていない……)。
でも、ワイルドストロベリーには、申し訳ないことをしていたなぁ、と思った。あんな状態になるまでずっと気づかなかったなんて。
ここからそんな教訓めいたことを読みとる必要はないのかもしれないけれど、物事がうまくいかないときは、一番根元から疑ってかかるべきなんだろうなぁということを学んだ気がした。
いくら表面的に取り繕っても、栄養を与えても、根っこがしっかりしていなければ、どうにもならないから。
足場を固め、悪いものはきちんと取り除いていこうと思った。