島本理生

島本理生「ナラタージュ」

はまった。

 

本を読んでいる時間を愛おしめた

島本さんの作品は、以前読んだときから、上手いなと感じたけれど、今回はもう、若い作家だとかそんなことは忘れ、純粋に楽しませてもらった。

本を読んでいる時間をこんなに愛おしめたのは久しぶり。

 

ツボにはまったという意味では、ばななさんの「白河夜船」以来かも。

ただまぁ、「白河夜船」をばななさんの代表作と言う人はいないように、私の好みは人とちょっとずれているかもしれないので、非常に主観的な評価だけれど。

 

最後の方はかなり泣ける。

もっとわがままを言って引き留めれば、一緒にいられるんじゃないかと思ってしまう。

お互い必要とし、惹かれ合っているのに別れるのは悲しい(最後別れるのは、初めからきちんと書かれていて分かるので、ネタバレしているわけじゃないですよ)。

けど、相手のことを思いやったり、そう言いつつ実は自分が傷つくのが怖かったりして、あと一歩を踏み込めず、大切な人を手放した経験が、次の恋を手に入れる力になったりはするのよね......なんて、もう遠い昔の自分を思い出してみたりする(笑)

  

切なさ

私がこの本にはまったのは、「切なさ」を上手く描いているものだったから。

私が一番美しいと感じる人の感情は「切なさ」。もちろん「思いやり」とか「愛情」っていうのも美しいのだけれど、書き手として一番心を惹かれるのは「切なさ」なのよね。

だから本当、こういう話には弱いね......。

 

葉山先生も、小野くんも上手く描けていて、魅力が伝わってきたし、それぞれの別れとかマイナスの感情とか、そういうものの理由もよく分かった。

多分設定の細かいところまで気を使っているのだろうな、色々なことがとても納得できて、だからこそ、どうにもならない感じが切なかった。

 

長編では冗長になるところに個性が出る

正直、かなりの長さだから、途中ちょっと中だるみを感じるところもあったけれど、でもやっぱり全体としてこれだけの長さがあり、時間があり、淡々としているようでいて、すべての時間には意味があり、この話ができあがっているという気がした。

 

以前読んだ小説の書き方の本で、短編では必要最低限のことを書くように心がけないといけないけれど、長編では冗長に感じられるところにこそ個性が出るから、削りすぎない方がいいと書かれていたけれど、そんな感じかもしれない。

ここのところしばらく50枚くらいの作品を書いていたので、長い作品も書きたいなぁという気持ちになった。

 

私はお薦め!

色々語りたいことがあるようで、いい作品って結局は自分の心のなかで「良かったなぁ」と完結してしまうところもあり、上手く語れない......。

 

あと最近ついついリンクを貼るついでにアマゾンで人の評価を見てしまうのだけれど、意見って本当さまざま分かれるものなんだなぁ~と感心するほど。

だから、すごくいいから読んで!とは薦められないのだけれど(分かる人には分かるけれど、分からない人にはさっぱり分からないだろうタイプの小説だし......)、ま、是非気が向いたらちょっと手にとってみてください!

10~20ページぐらい立ち読みして、すっと入りこめたら、きっとおもしろくて一気に読めるはずです。

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