瀬尾さんの小説はいつもほんのりと温かくて読みやすく、やっぱりいいなぁと思う。
かもしだす雰囲気はどの小説も同じなのだけれど、人物の作り方や設定や話の流れにオリジナリティがあるから、読んでいて飽きない。
Contents
4つの連作短編
この本は4つの短編からなっているけれど、4つともちょっといんちきくさい「占い師」である女性が主人公で、相談しに来るお客さんの問題を解決していくという連作。
毎回「きっと何かあるぞ」ということは分かるのだけれど、「多分、こうなんでしょ?」と想像したを上手く裏切ってくれるというか、「え? そんなにずれてたの?」みたいに、凡人の想像の上を行ってくれるのがいい。
特に一番初めの作品が突拍子もなくておもしろかった。
後半はそれに比べると「あぁ」というようなところもあるけれど、3話目の「おしまい予言」などもなんとなく気持ちが分かって良かった。主人公もいいけれど、その「彼」がとてもいい味を出している。微妙にうちの旦那さんと重なる(笑)
連作短編も書きたいな
最近、自分自身の試みとして、緩い連作をしている。
一つの話に「助演」くらいの感じで出てきた人を、次の作品の主役(=視点人物)にするとか、その逆とか。一度作り上げた人間には愛着があるし、そこそこキャラクターが固まっているから使いやすく、意外とおもしろい。
でも、いずれはこの作品みたいに完全な連作もやってみたいな、などと思っている。
純文学だとエンタメよりは難しいけれどね。(でも、最近そういう短編集は増えているし、多分、売れているのだと思う)
ということで、ちょっと脱線したけれど、ほのぼのした気分になりたいときにお勧めの本でした。
強運の持ち主 瀬尾 まいこ
文芸春秋 2006-05 |