伊坂さんのモダンタイムスを読んだ。
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伊坂さんらしい作品
一番最近読んだのが「終末のフール」、その前が「砂漠」「魔王」「死神の精度」という順だったと思うのだけれど、このあたりの4作は、私の中では「何かが違う......」という感じで、物足りなさを感じていたのだけれど、これは、「これぞ伊坂さん!!」と嬉しくなるような作品だった。
漫画週刊誌に1年間連載したものをまとめた、とあとがきを読んで知ったのだけれど、これだけのものを毎週書いて出せるってすごいな~、と、ただただ感心。
『魔王』の続き
この作品は「魔王」の続きで、超能力の話、政治の話、自分で思考しないと大変な力に取り込まれてしまうという話......などが引き続き語られる(読んでいない人には、意味がさっぱり分からない説明だと思いますが......すみません)。
やはり「魔王」を読んでから読むのがいいと思うけれど、読んでいなくても楽しめるとは思う。
「魔王」の続編ということで、設定は未来。
システムエンジニアだった伊坂さんが、たぶん初めて書いた、SE小説(?)。
システムがさらに発展し、インターネットの世界も進化する......するとどうなるか、という、ちょっとSFがかってもいるミステリー。
展開が読めず、イベントは多発し、飽きずに読める!
伊坂さんの主張も強い
ただ「魔王」同様、また、政治などについて、かなり強い主張がある。
私はどうも作家が、メジャーになるとなぜか「主張」しはじめるのがあまり好きではない。
でも、この小説の中には「井坂好太郎」という小説家が登場して、さらにストレートに「主張」するのだけれど、それを読んでいたら、伊坂さんの抱える切実さ、みたいなものも分かって、逆に、全部受け入れられる気がした。
まぁ、マイナーな作家とかアマチュアが間違っても、あんな「語り」をしちゃいけないと思うけど(汗)
その井坂好太郎が小説というのは、音楽などと違って、集団を先導できるものではない、ただ一人ひとりの心に深くしみるものだ、というようなことを言う。
あぁ、なるほどなぁ、と思う。
伊坂さんは本当に頭が良くて、いろいろ考えている人なんだろうな、という気がする。
小説も、きっと、「使命感」を持って書いているんだろうな。
そう思ったら、これからも読み続けたいな、と純粋に思った。
この本は、純粋なエンターテイメントとしても楽しめるし、お勧め。
かなり長く、単行本は持ち歩くには重すぎるのが難点ですが、それ以外は、私にとってはパーフェクトでした!
メインのストーリーとは関係のないところでも、たっくさん伏線を貼っているというか、いろいろな工夫があって、本当、ただただ、すごいです。
モダンタイムス (Morning NOVELS) 伊坂 幸太郎
講談社 2008-10-15 |