瀬尾さんの三作目。今のところ瀬尾さんの作品は全部読んでいる。
読みやすくて、分かりやすく爽やかでいい。
軽くさらりと読めて、最後はきちんと心を癒してくれる。
Contents
爽やかさと癒し感
深さはないのだけれど、きちんと自分がしなくてはいけないことを分かっていて、そのために作品を書けている人なんだなぁという感じがして、それが好きだ。
無理に背伸びせずに、自分のできる範囲のことを、精一杯書いている感じ。
瀬尾さんは現役の中学校教師らしいが、笑顔で生徒や父兄に接しているところまでイメージできてしまう。
顔は知らないけれど、生徒の母親に「先生、また本、出しましたね」「え~、そうなんですよぉ」とか笑顔で話しているところが容易に想像できる。
もしかしたらこの爽やかさや、癒し感は、きちんと生徒を読者としてイメージして、彼らに読ませたいと思って書いているせいなのかもしれない。
勝手な想像だけれど、そうだったらもっと素敵だな。
単純な話を成立させてしまう瀬尾さんの力
今度の作品は、仕事がうまくいかず、軽いウツ状態になって自殺を考えて、遠い地まで旅に出た二十三歳の女性が、死に損ない、その地の自然や人に癒されていく……という、まとめてしまえば、「え? そんな単純な話なの?」というような話(笑)
でも、その単純な話をしっかり成立させてしまうのは瀬尾さんの力。
読んでいると、その場所に実際一人で旅に出て、その自然の中にいるような気分になってくる。この表現力がいいなぁ。
あと、くすっと笑えるような台詞のセンスとか、たまにどうしてそんなこと思いつくんだろう?という突拍子もない出来事が起こったりとか……。
瀬尾さんのワールドなんだろうなぁ。
ほんと、さらさらさら~っと読めるので、ちょっと時間があるときなどにおすすめです!
一度は手にとってみて損はない作家だと思います。