邦画

映画「博士の愛した数式」

小川さんの作品の映画化。

 

原作も映画もそれぞれにいい

小説もあたたかく愛に溢れた内容で良かったけれど、映画も負けていなかった。

小説にはないエピソードを加えながらも、その世界を変えてはいず、むしろ補強していて好ましかった。

小川さんがこの映画に対し、「全てのシーンが素数みたいな映画だった」というようなコメントをしていたけれど、なんだか分かった。

すごく新しいという訳ではないのに、今まであったものとはどこか違うような感じがする。

時々、原作の良さはどこにいったの? というような映画もあるけれど、小川さんはこういう才能のある人に映画にしてもらえて恵まれているなぁ。

これを機に、もっと小川さんの作品を読む人が増えたらいい。まぁ、他の小川さんの作品はこんな愛に満ちてはいないけれど......(笑)

  

人と人の関係

この映画で、博士と家政婦、博士と家政婦の息子の関係も良かったけれど、家政婦とその息子の関係も良かった。

こうやって子供を一人の独立した存在ととらえてしっかり向き合える人はいいなと思う。甘やかすのではなくて、しっかりと相手を認めること、これは大切。

少し前、テレビで家政婦役の深津絵里がこの映画のことを語っていた。

子供がいる役を初めてもらって、嬉しかった、いままで頑張ってきたご褒美のようだったと言っていて、その言葉も良かった。

普通であることを大切にしてきたとインタビューでも言っていたけれど、自然体の軽やかな美しさが魅力的な人だな。

あと、息子役も、博士役もよかった。

博士と義姉の関係は小説よりもっとはっきりと描かれていたけれど、でもどこか描ききっていないところもあって、それも良かった。

ただ一つ、ルート(息子)が大きくなったという設定で、吉岡秀隆が出てきていたけれど、その「成長したルート」を出したのは成功だったのかどうかはよく分からなかった。

上手く使えているところもあれば、吉岡君の場面になることで、流れが止められてしまうところもあったので。

あえて言えばそれくらいかな。

とにかく全体的に良くできた映画だった。

淡々としているけれど、心の奥に伝わってきて染みるものがあった。良質の作品、って感じ。お勧めです!

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