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歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

推理小説系の賞を総なめにした本

wikipedeiaによると

  • 第57回日本推理作家協会賞受賞
  • 第4回本格ミステリ大賞受賞
  • このミステリーがすごい! 2004年版第1位
  • 本格ミステリベスト10 2004年版第1位
  • 週刊文春 推理小説ベスト10 2003年度第2位

という推理小説系の賞を総なめにした本。

 

一時期どこの本屋に行っても平積みされていたから、タイトルは知っていたのだけれど、私好みのタイトルと小説の出だしの世界観のギャップに諦めた記憶がある(笑)

 

びっくりした!!!

でも!

やはりこれだけの賞を獲るだけはある。

 

いやぁ、びっくりした。

ラストの章、乾くるみ「イニシエーション・ラブ」 以来の衝撃だった。

 

どんでん返しがあって、「えええ? そうだったの?」と思うことはあるけれど、「え? 本当に?!」と最初の方に戻って確認しなおすことはまずない。

これは思わず、色々確認して戻っちゃった。

 

どんでん返しが肝の作品だから、その内容は教えられないけれど、分かってしまうと、物語の冒頭や構成で作者がものすごく巧妙に読者をミスリードしているのが分かり、「してやられた」という感じ。

ものすごい頭脳犯。

物語のイメージが固まるまでの最初の方で、あの手この手で、読者を勘違いさせている。

 

どんでん返しがなくても読ませるエンタメ小説

正直、「イニシエーションラブ」は、「うわぁ、すごい!!!」とラストに超驚き、感嘆したけれど、そこに至るまでの内容は、ちょっと読むのがきつい部分もあった。

すごいライトノベル系の軽い文体での、ごくありきたりの恋愛小説風だったから。

 

でもこっちの作品は、推理小説としてとてもしっかりしていて、たとえ最後にすごいどんでん返しがなくても、そこまでの過程の読書を楽しめる作品だった。

 

  1. 知り合いが巻き込まれた悪徳商法会社の実態を探るべく探偵活動をするパート
  2. 電車に飛び込んで自殺を図った女性を助け、その女性と少しずつ距離を縮めていくパート
  3. 以前探偵会社で働いていたときに関わったやくざと薬物取引と事件に関するパート
  4. 知り合いに頼まれ、別れた妻との間にできた娘を探し回るパート

と、主に4つの話が展開するのだけれど、(正確には、悪徳商法につかまり、そこの会社の手先となって働くおばあさんのパートもあるので、それを入れると5つ)

どれも非常に密度が濃い。

 

主要なストーリーにはさほど影響のない4の「娘を探す」部分でも、非常に丁寧な“探偵活動”をしていて、妙にその部分が印象に残ったり。
(今見ている朝ドラ「ちむどんどん」の行き当たりばったりさと比べて、すごいなぁと(笑))

 

1と2は何かつながりそうだな、とか、もしかすると4も何かしら絡んでくるのか? くらいは読めるのだけれど、全然私レベルの読みでは甘かった。

 

推理小説で「うわぁ、だまされた!」体験をしたい方に、非常にお薦めです!

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