最近ちょっと小説を読む余裕がなく(気持ちの、かな)、なんだか久しぶりに読んだ。
さらりと読めるし、淡々としているけれど、必要なことは伝わってきて、やはり上手いな、という気がする。
「同期との絆について」という説明だけ知っていたけれど、想像していた以上にあっさりした書き方で、でも想像していた以上に好感を持てる素敵な関係だった。
私はどうも主人公の心情を事細かにかきすぎて鬱陶しく感じさせてしまうタイプのようで、今はその心情を削ることに専念しているけれど、今習っている先生いわく、削るだけじゃなくて、語り口に工夫をしてその心情吐露を「読ませる」方法もあるということ。
絲山さんのこの書き方も「読ませる」書き方なのかな。でもやっぱり、全体的に心情吐露を抑えているのかもしれない。
事実の描写と心情の描写のバランス、今はそれを一番学びたいな。
ということで、上手いな、と思えた本でした。
本当にさらりと読めてしまう短さなので是非どうぞ。
沖で待つ (文春文庫)
文藝春秋 2009-02 |