過去Diary

ファインダーの先に

 今日は、東京は33度まで上がったらしく、ひどい暑さでした。紫陽花も、心なし元気がなかったような…。
 
 ここ数日、風邪で思うように動けなかったのですが、ちょっと元気になってきたので、ちょっとだけ知らない街を歩いてきました。知らないと言っても、大学から30分ぐらいのところ(電車でね)。庭園のような物を見に行って、ぼんやりとそこで執筆なぞをしようと思ったのですが、計画性のない私のことなので、ついたらもう授業の1時間前で、仕方ないので、ふらふら散策するだけになってしまいました。
 
 でも、今日は、そこを気の向くままに歩いていたら、紫陽花が咲き誇っている小径をたまたま見つけ、ついていました。シャッターチャンス!
 
 写真を撮っていると言っても、この1年ぐらい撮っているだけなので、全く写真という物は分からないのですが、どういう作品が撮れるかより、ファインダー越しに、真剣に世界をのぞく、そうすると、その花なり自然なりが、精一杯それに応えてくれるような気がして、そのことがとても好きです。上手く言えませんが、ただその時、自分も世界の一部になって、世界に触れている気がするのですよね。
 
 それから、私が紫陽花の写真を撮っていたら、その時同じようにその紫陽花を見ていたおばさんが、話しかけてきてくれました。「他の花と違って、紫陽花は雨の中の方が、生き生きして見えるから不思議よね。」紫陽花は、一番好きな花です。それは、雨の中で美しいからと、たくさんの花が集まって、初めて美しく見えるからです。誰でも気づけることかな、そんなこと。
 
 でも、そういって話しかけてくれたそのおばさんが、いいな、と思いました。そういう心のふれあいが好きです。「話しかけちゃって悪かったわね」写真を撮っていて、話しかけてきてくれる人はみんなそう最後に言います。でも、私はそうやって話しかけてもらうことで優しくなれた心で、写真を撮りたいな、と思います。「そんなことないですよ。ありがとうございました」そういえた自分と、それに「ありがとう」と返してくれた、その人が、今日の幸せかな。

 なんか、最近「自分」を失いかけていたのだと思います。今日、やっと自分のリズムを少し取り戻せた。…変わっていく自分を、止めたいとは思わない。でも、そういう物に幸せを感じられる自分は自分でとても好きだから、人になんと言われても、私は守っていこうと思うのです。

 そして、できれば、あなたにも、そんな「立ち止まり」の幸せを教えてあげたいな。
 
 前は、大手町のオフィス街で、格好いいビルの写真を撮っていたら、背広を着たそのビルの社員さんらしき人が、「言われてみれば、確かに(この構図は)きれいだね」と言ってくれました。次の日から、その人はまた一つ新しい「美」とか「幸せ」を探し始められるのではないかな、と思いました。そして、私もとても幸せでした。
 
 「教える」というのは偉そうだな、「伝える」って感じかな。小さな幸せが伝播していきますように。
 
 本格的に写真を撮っている人は、つかまえると機嫌悪いかもしれませんから、カメラ持った人には話しかけよう、と言っているのではありませんが、ただ、誰かがカメラを向けていたら、その先に、何か自分の思いもしなかった「美」があるのかな、とちょっと立ち止まってみてはいかがでしょうか。幸せなんて、きっと些細なことなのでしょうね。そして、そう思えるときは、心に余裕があるのでしょう。

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