本屋大賞受賞作「ゴールデンスランバー」をようやく読んだ。
こういう重たい単行本はなかなか持ち歩く気にならないので、家でちょっとずつ読むことになり、その結果、なかなか読み終わらないのでだけれど、非常に伊坂さんらしい、楽しい本だった。
Contents
首相暗殺犯にされ必死に逃げる
ストーリーは、「首相暗殺犯に気づいたら仕立て上げられ、必死に逃げる」と、簡単に説明するとそれだけだけれど、「魔王」などから続く、政治的な力に対する想いがテーマになっている。
ただ、真正面からそれを受け止めて書くと非常に暗く重い作品になってしまいそうだけれど、伊坂さんの作品ではそうはならない。
どんな危機的な状況であろうと、冗談を言ったり、思わず笑ったりする余裕が伊坂さんの作品の登場人物には常にある。それがいいのだろうな。
ちょっとありえない出来事の魅力
逃げるさなかに起こる一つ一つの出来事が、すべて「ちょっとありえない」感じなのが、「ただ逃げるだけの作品を決し飽きない起伏のある作品に仕上げている。
伊坂さんの作品の魅力は、ストーリーよりも、キャラクターと一つ一つの小さな設定を考える発想力なんだな、ということを改めて感じた作品だった。
伊坂さんの小説は、半分くらいが既に映画化されているけれど、この『ゴールデンスランバー』も近々映画化されるらしい。テレビのCMも良く見るから、配給会社もかなり力を入れているな。
伊坂さんの作品を原作とした映画に堺さんが出るのは、『ラッシュライフ』につぎ、2回目。
堺さんのちょっと飄々とした雰囲気が、確かに伊坂さんのワールドにマッチしそうな気がする。
ゴールデンスランバー
新潮社 2007-11-29 |