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町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』読了。
 
 
久しぶりに
心地よい世界観&空気感の小説が読めたな、
というのが一番の感想。
 
主人公の女性が幼少時代に受けた虐待は
相当キツイ内容なのだけれど、
その部分はきちんと深刻に描きながらも、
「現在」の描写にはかなり救いもあり、
とてもバランスが良い作品だった。
 
最近本当、良い作品は「バランス」だな、と思う。
 
 
鬼でしかない登場人物と、
愛でしかない登場人物。
 
自分はこういう書き分けは
多分しないけれど、
(きっと悪の中にある善や、
善の中にある悪に惹かれている)
こういう構図は、
分かりやすく目的地へ
ストーリーを導いてくれる。
 
 
だから、とても安心して
本当、心地よく読める作品。
 
「切なさ」をきちんと
美しいものとして描けている
作品でもあり、
とても好感が持てた。
 
 
ちなみに
「52ヘルツのクジラ」というのは、
仲間には届かないヘルツでしか
鳴けない、孤独なクジラのこと。
 
でもそんな
52ヘルツのクジラの声で鳴いていても
きっと誰かには届く、
という希望の物語。
 
 
海の深いところで
孤独に鳴いているクジラを
想像しながら読むと、
より心に響く。
 
 
 
最後は描写より、
ストーリー展開に重きが移りすぎ、
私は前半の方が好きだけれど、
でも、ちゃんと納得できるラストで
良かった。
 
 
さすが本屋大賞。
 
 
数ページ読んでみて、
「この世界観、心地いいな」と思ったら、
是非買って読んでみてください♪
 
 
 
ただこの本を読んでいて思ったのは、
私が書くものは、
設定はここまで深刻ではないのに、
もっと暗いなということ(笑)
 
以前ダイビングをしていたとき、
色々な沖縄の島で潜ったのだけれど、
深いところまで潜って、
洞窟の先の光を見たとき
心が震えた。
 
私が書きたいのは、
そうやって深くまで
闇に潜ったあとに、
水面を見上げて見える
光だな、と。
 
 
 
好みだけれど、
自分の作風とは違うものを読むと、
色々気づきがあり、それも嬉しい。

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