洋画(欧)

クシシュトフ・キェシロフスキ監督「トリコロール~赤の愛~」

知っている人は
少ないと思うのだけど、

一番好きな映画は?
と訊かれたら、答えるのはこれ。

クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品
「トリコロール/赤の愛」と
「トリコロール/青の愛」

(白の愛もあるけれど、
 好きなのは赤と青)


日本では1994年に
公開された作品。

私はその頃、大学1年生。


1つ目の劇団で挫折を味わい、
2つ目の劇団にも馴染めず、
色々悩んでいた時期に、
「赤の愛」を映画館で見た。

当時の私は、本当に
演劇人間だったから、
「映画なんて邪道」と本気で
思っていた。

リアルな空間で
リアルな空気を共有できる
演劇というものが好きだったから。


そんな私に、
「映画って、すごい」
と本気で思わせてくれたのが、
この「赤の愛」だった。

そのときの衝撃は、
今も忘れられない。


⭐線が点に分解された作品⭐

公開された順番は、
青・白・赤。

この3色はタイトルからも
分かるように、
フランスの国旗の3色を表している。

そしてフランス国旗の色が表す通り、
映画でも、
青=自由、白=平等、赤=博愛
がテーマになっている。


でも、はっきりいって、
内容はそう分かりやすくない。

青を見ても
「自由がテーマだったと
 言われれば、まぁ、そうだったのかな」
程度(笑)


「芸術映画」だから、
設定とかストーリーの見せ方は
難解。

『言の葉の庭』とは違い、
『トリコロール』には各編、
かなり独特な設定と
ストーリーがある。

でも、
ストーリーの「線」が、
「点」に分解されて
散りばめられている感じって
言えばいいかなぁ。

『言の葉の庭』みたいに
ありがちなストーリーだったら、
ぶつ切りにされても、
理解できると思うのだけど、

『トリコロール』は、
まぁまぁあり得ない感じの
設定とストーリーなので、
ぶつ切りにされると、
ストーリーを理解するのは難しい。

(あらかじめ、あらすじを読んでから
 見てもいいかも、とか思っちゃう)


それでも、
『トリコロール』は、
「点」の美しさとか、
「点」へのこだわりがもう
半端ない。

だから散りばめられて
「線」ではなくなった
「点」がじわじわと頭の中で
組み立っていって、
最後にふわっと一つの
世界というか、物語が見える、
その感覚がたまらない😍


⭐色使い⭐

そして、とにかく
色の使い方が、やばい‼️

「赤の愛」では、
様々なところで「赤」が
効果的に使われている。

すごい頻度なわけではない。
でも、ものすごく効果的に
使われている。

これに痺れる‼️

そして、映像では「赤」なら
「赤」が多用されているのだけど、
その色は、ストーリーにも
台詞にも特に反映されていない。

つまりあくまで「線」とは
独立した、ただの「点」として、
色は存在している。


上手く言えないのだけど、
とにかく、
芸術映画を見たい人は、
見て欲しい!!

「青」「白」「赤」の
順番に見ると、
3つの話の繋がりが「赤」で
見えたりして面白い。

でも、それぞれ独立した
話としても純分楽しめる。

「青」が好きだけど、
「青」はちょっと痛い。

「赤」がバランスはいいかな。

今はAmazonPrimeで、
200円くらいで見られるから、嬉しい💖

お薦め!!


⭐私の色へのこだわり⭐

そして私は
この映画を見てから、
小説でもすごく「色」使いを
意識している。

「パキラ」も色の話だったけどね。

多分「パキラ」を
黒い花✿にしたのは、
長年の色へのこだわりの
結果だったのだろうなと思う。

全ての色を混ぜると
黒になる🖤

でもすべての色の光を
混ぜると白になる🏳

これが本当に面白いなと
思うんだよね。

しかも色って、
すべてあったものの
一部が吸収され、
吸収されていないものが、
色となって目の前に現れている。

(つまり、赤く見えているものは、
 赤以外のすべてを
 内側に持っているわけ)


すべてがある✨
すべてである✨

なんだよね。



この2年くらい、
小説はずっと
『予兆と残像』というのを
書いていたのだけど、
それは「赤」「緑」「青」の
3部作になっている。

合わせると白になる
光の3原色。

そして
🟥赤はカメラマン
🟩緑は画家
🟦青は映画監督の話。


今の私の最大の望みは、
「今書いている作品を
 むっちゃすごいものにする」
ということと、

この『予兆と残像』を出版して、
芥川賞を受賞させること!

さらにできれば、映画化!


特に「緑」は、
書き始める前に夢で
映画の予告映像みたいのが見えて
それで書き始めたから、
なんか叶うものの気がする!

来い、映画化っ💗


※ちなみに言うと、
 映画化して欲しい監督は、
 西川美和さん!!

(西川作品への愛は
 また後日語ります!)

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