過去Diary

スペイン旅行とピカソ

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 スペインに行って来ました。

 やっぱり、国ごとの色というものがあるのですね。結局一番良かったと思えるのは、美術館をたくさん見られたことですが、その画家の生まれた地、育った地に行くと、少しだけ、その絵の意味が分かってくる気がします。まぁ、今のスペインというのは、あまりに陽気というか、小さなことにこだわりがなさすぎて、それが良いところでもあるとは思いますが、そこからはもうあまり芸術は生まれてこないかな、と言うことは感じました。
 
 東京のように、ごみごみして、せまっくるしくて、なんだか自分が本当にだせていない、そんな場所って、やっぱり芸術を生みだし易いんじゃないかな、と思うのは、東京人の勝手な言い分でしょうか?

 どこかの地を旅して思うことは、私はやっぱり東京の人間として、生活している限り、東京の人としての視点しかもてないし、そうやって生きてきた自分だからこそ感じられるものを、表現しないといけない、ということですね。
 
 スペインの国土は日本より狭いのに、なぜかとても広く感じさせる空気がある。ピカソはスペインに生まれてから、フランスに渡ったらしい。だからあの手法がいつどこで生まれたものなのか私には分からないけれど、ああいう突拍子もないことを考え、原色で堂々と絵を塗れる。それはやっぱり、彼がスペイン人であるが故だ、と思ってしまった。
 
 今、結城昌子という人の書いた「夢なら覚めないで」という、絵画についてのエッセイ集のようなものを読んでいる。結構気楽に読めておもしろい。
 
 その第一章はシャガールについてなのだけれど、そこにこんな文章がある。「画家のヴィテスブルグへの思い。それは画家の一方的な郷愁などではない。戦火を浴びて代わっていく故郷ヴィテスブルグもまた、シャガールを必要としていたのだ。こう書くと奇妙に感じられるかもしれない。が、強い文化は必ずその代弁者を必要とする。……」
 やはり、いい絵こそ、その故郷に置いておいてあげて欲しい。
 
 そして、やっぱりコピーなどではなく、本物の絵画を、本当の大きさで見ることは大きい。教科書で見たときは、大して何の感情も覚えなかった、ピカソの「ゲルニカ」に衝撃を受けてきた。相手を傷つけるためのミサイルや、刃物など鋭利な歯。でも、それはその牛とか人の中にあって、その持ち主自身も苦しめているかのようだった。その絵からは、苦しさが伝わってきた。
 
 最近刃物の事件が頻発している。子供たちにとっては、毎日が、この絵のような戦争なのかもしれない。私も小学生の頃は、人を傷つけ(その頃は心だけだったけれど)、そして自分も苦しんでいたような気がする。確かにあの頃、私は大きなミサイルを飲み込んで、自分自身も苦しんでいた。
 
 「戦争」というのは、一つの表象化した事件にすぎず、常に「戦争」をおこす力は、どこかに潜んでいる。もしかしたら、今戦争がないから日本は平和だ、と言うのも、昔はこんなにいじめがなくて平和だった、と言うのも、間違っているのかもしれない。憎しみとか、破壊に対する欲望とかも、質量保存の法則のように、いつも同じだけ、「どこかに」あるのかもしれない……。そう考えるのは、悲観的なのだろうか?

(また、旅行記に戻りますが…)今回の旅、大都市はマドリッドとバルセロナに行って来た。バルセロナは大通りを歩いていると楽しかった。歩道は車道の両脇にもあるけれど、車道のど真ん中にも太い歩道があって、そこにずっと花屋さんが並び、平日でも、日本の歩行者天国のように、ギター弾きなど色々な人が見せ物をしている。

 その通りを少しどちらかに入っていくと、エイズや麻薬がはびこる恐ろしい一角に入ってしまうらしく、私は大通りしか歩けなかったけれど、真っ直ぐ行くと、ガウディーの建てたビルもあるその道は結構贅沢で、楽しかった。
 
 マドリッドは一番始めに降り立った地だったけれど、ガイドさんに、マドリッドは怖い街だとさんざん脅かされたので、あまり歩けなかった。今にして思うと、大通りなら怖くなかったし、歩いてしまえば良かった(でも、ブランド品を売っている店の辺りは、歩かずに、タクシーで行った方が多分いい。スリは噂通り多いらしい。実際ツアーの人もバルセロナで、すられそうになっていた)。
 
 都会は、どこの国も段々似てきている、と思う。大してローマとバルセロナは変わらない。でも、やっぱりどこか実は違う。多分パリに行くとよけい感じることなのだろう。田舎に行くと、ツアーだったせいもあって、いかにも「スペイン」という、白い家の並んだ道や、田園風景を見たが、やっぱりおもしろいのは、似てきつつあるなかで、でもやっぱり違うその国独特の空気を、都会に感じることだろう。
 
 東京も大分無国籍っぽい雰囲気になってきたのかもしれないけれど、やっぱり、新宿や銀座にガウディーの建物が建ってたら嫌だもんなぁ……。
 
 日本でも、東京と地方は全然違う。地方から東京に出てきた人同士は、同郷人との結束があるけれど、東京に元もといる人間には、別に自分は「東京人だ」という気持ちはないし、東京の人を特に身近に感じられたりはしない。でも、人を理解したいと思ったとき、やっぱりその人の生まれ育った地に行ってみるべきだ。そう思った。
 
 私は1歳の頃1年だけロンドンに住んでいた。その時の記憶なんてもちろんないけれど、きっと深いところに、その過去は眠っているんだろうな、きっと。

 ということで、結構良い旅でした。田舎町の方は、トレドと、地中海以外あまり記憶に残っていなくて、そう考えると、イタリアの方が良かったのかな、とも思いますが、でも美術の好きな人には、とてもお薦めの国です。マドリッドとバルセロナだけで、他の国の都市とセットにしてもいいし、という感じです。

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